「お嬢さん」

このミステリーがすごい!」の海外部門で2年連続1位を取ったサラ・ウォーターズ、その2年目の作品「荊の城」が原作の韓国映画だ。

監督はパク・チャヌク

オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」は録画してあるが未見で、今まで観た作品は「JSA」だけだが、聞きしに勝る鬼才ぶりで正直どう評価していいかわからない。

物語は3部構成だ。

舞台は1939年、日本が支配をしている朝鮮半島

伝説のスリの娘のスッキ(キム・テリ)は、孤児を子どものいない裕福な日本人夫婦に売る仕事をしていた。

そこに詐欺師の藤原伯爵が現れる。

藤原は元々済州島の貧民街で生まれた朝鮮人だが、日本語を習得して日本人の名を名乗っていた。

そして藤原は、やはりかつて朝鮮人だった男が日本人に帰化した後、裕福な日本人女性と結婚して上月と名乗っている、その上月の姪が莫大な資産を相続しているので、その姪との結婚を画策していると告げた。

上月はスッキに、姪付きのメイドとして屋敷に侵入する話を持ちかけた。

藤原は結婚後に日本に渡り、そこで姪を精神病院に押し込めて財産を手に入れ、スッキには相当の報酬を渡すと言う。

スッキはその話を飲んで、メイドになる事にした。

上月の屋敷は広大だった。

建物は英国式と日本式の建築を組み合わせて作られており、本館のほかにメイドたちの建物、さらに別棟として上月の書斎があった。

上月が稀覯本の収集が趣味のため、本が傷まないように建物は日光がほとんど差し込まない設計になっており、とても薄暗かった。

そんな屋敷に5才の頃に日本からから連れて来られた姪の秀子(キム・ミニ)は、情緒不安定である。

幽閉に近い生活をしている秀子は、ガラス細工のように繊細でピュアだった。

それからスッキは日本名の珠子と名づけられ、秀子の世話を始めるの。

だが、秀子のあまりの美しさ、そして不憫な環境を見ているうちに、スッキはだんだん秀子に感情移入してしまう。

藤原からは、秀子が結婚したくなるようにいろいろと仕向けろと言われ、行きがかり上性的な教育も行うのだが、スッキは秀子に惹かれて逆に藤原に対して嫉妬を覚えるようになってしまった。

ある日、上月が数日間屋敷を不在にする事となった。

藤原とスッキはこの隙に乗じて秀子を屋敷から連れ出し、日本に渡って無理矢理結婚式を挙げた。

宿の隣室で二人が初夜を迎える声を、スッキは複雑な心境で聞いていた。

スッキは秀子への思いを断ち切るべく、藤原に早く資産を現金に換えて、秀子を病院に収容するよう急かす。

藤原がようやく現金を手にし、3人は精神病院へと向かった。

ここで1部が終了する。

2部は、1部終了までを秀子の視線で描いている。

上月が収集していた稀覯本春画や春本、いわゆるエロ本である。

このエロ本を上月は妻にいやらしく朗読させ、それを聞きに来た紳士たちに競り落とさせていたのだが、エロ本は藤原が制作した贋作であり、上月はその競売で巨額の収入を得ていた。

さらに上月は幼い秀子にもいやらしく朗読させる訓練をし、上月の妻が自殺した後はその仕事をすべて秀子が担当していたのだ。

そして秀子はそんな生活に疲弊していた。

これ以上はネタバレになるので書けないが、この間、登場人物たちが壮絶な騙し合いを繰り広げる。

ミステリーと言うよりも、個人的にはコン・ゲームに近い作品だと思った。

そしてその騙し合いがかなり良い出来だ。

スッキは会話は多少できるが日本語の読み書きはできない、スリの娘と言う事で偽硬貨、偽札や宝石の鑑定は5歳の頃からできる、などの設定を巧みに伏線として利用している。

設定とラストも原作と少し変更しているようで、それが巧く機能している。

脚本、演出、ストーリー展開は1級品だ。

ただ、それ以上にあまりにもクセのある世界観で、素直に評価する事ができない。

まず、性描写がかなり過激だ。

セリフの中に「お●んこ」だの「ち●ぽ」と言う単語が普通に出てくる、しかも日本語で。

ただし原作者のサラ・ウォーターズ自身がレズビアンと言う事もあるのか、原作もかなり激しい性描写があるらしい。

だからこの部分に関しては、原作に忠実、という事なのかもしれない。

次に、日本の支配下という舞台設定のため、出演者が怪しい日本語で話すシーンが多い。

秀子自身は日本出身という事で、5歳の頃の子役は流暢に日本語を話しているが、大人になると日本語がかなりおかしくなる。

そしてその他の出演者の日本語のイントネーションは、聞いていてかなり疲れる。

その上「お●んこ」だの「ち●ぽ」という単語だ。

さらに、上月の書斎が日本をイメージしていて、かつ朗読をする秀子達が和服に高島田である。

西洋人がイメージした間違った日本像のようで、非常に違和感を感じた。

この書斎の雰囲気で上月の異常趣味を表現しているのだと思うが、屋敷の設定がゴシックホラーのようでとてもいい雰囲気だったのに、この日本風の書斎で台無しになってしまった。

書斎自体ももっと西洋風にした方がよかったんじゃないか、とも思う。

秀子役のキム・ミニという女優は、若干松嶋菜々子にも似ており非常に美しい。

スッキ役のキム・テリという女優も、AKBにいてもおかしくないくらいの可愛さだ。

この二人の激しい濡れ場は見ごたえたっぷりで、下品な言い方をすればこのシーンだけでも見る価値がある。

とは言え、個人的には上月の異常趣味の表現がちょっと耐えがたく、やはり素直に評価する事は難しい作品である。

31.お嬢さん

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