夢の終わり 中の上

あなたは、恋ってどんなものだと思う?

甘酸っぱいもの?悲しいもの?楽しいもの?

私はね、こう思うの。

取り返しのつかないものって。

私達が男女の関係になったのは、初めてお酒を飲んだ日から数ヶ月が経った頃だった。また、同じホテルのバーで。私達はまた、カシスオレンジとマティーニを頼んで。私はなんだかカップルみたいで嬉しくなっていた。

彼が入院している時からなんとなく気にかかっていたの。でも、仕事だから何もわからないふりをしていた。今はプライベートだから、自分の感情を優先にしていいんだろうか。いや、待って。彼は既婚者だ。

ただ、今こうして私が唯一飲めるお酒がカシスオレンジだということも、マティーニを飲む彼の横顔がほんの少し苦々しい顔だということも私達しか知らないんだ。

「好きなんだ。入院していた時から、ずっと」

一瞬、何を言われたのかわからなかった。だけど、言いようのない胸の高鳴りは恋の始まりを教えていた。私は、既婚者に恋をしている。どこか、薄暗い気持ちになりながらも、彼のてを握り、部屋に向かっていく。

彼は私に断られたら一人で泊まろうと思っていたという部屋に私を導いていった。

「本当に、大丈夫?」

「大丈夫だよ」

わかっているくせに確認をしたくなるのは、大人の悪い癖ね。

彼との初めてのセックスは夢心地って言葉がぴったりね。

別に処女だったわけでもないのに、まるで初めてセックスをしたみたいな恥ずかしく蕩けそうな気分だった。

自分の恥ずかしい部分を全てさらけ出して、受け入れられて、求められて。

脳裏に何も浮かばなかった。ただ、目の前にいる彼に自分の全部を委ねていたの。

好きとか愛してるとか、私はあまり軽々しく言いたくないし信じたくないけど、あの瞬間は叫んでいたわ。「好き」って「愛してる」って。

帰りのタクシーで私の手を握り続けてくれたあの大きな手の温もりが、今もそばにあるみたいに感じる。

でも、彼ね、また体調を崩したの。

元々の病気の影響が大きかったんだけど、それでも彼の体調はとても悪そうですぐに入院ってことになった。だけど、入院した病院がとてもグズなところで。全然彼の病状は良くならないし、彼の体がどうなっているのかさえ、よく把握していなかった。

だから私は必死にいろんな医学書を買い込んで、調べ上げたの。

こうじゃないかってところをコピーして主治医に渡すように彼に指示を出したりして。彼が入院している間、セックスなんて当然していないし、キスもままならないくらい彼の体調は悪かった。

私は彼の支えになりたいと心底思ったの。心の繋がりが深いからこそ、私達はこうして病と戦えるって思った。彼はいつも私に感謝してくれて、少し体調がいい時は外出をして、私と会ってくれた。

大事にされてるってとても思ったわ。だからこそ、私も彼を心から愛してると思った。ちょうど私と彼の関係は四年が経った頃だった。

四年も、なのか、四年しか、なのか。

どちらでもいいんだろうけど、どちらかによって受ける印象って全然違うじゃない?あなたはどう思う?私の四年をどう思う?

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